北京豊台駅のはなし

北京郊外にある北京豊台駅が「アジア最大」の駅となったというニュースがありました。2022年6月20日から運用されているようです。北京豊台駅は京沪鉄路(北京―上海)、京広鉄路(北京―広州)、豊沙鉄路(豊台―沙城)、京原鉄路(北京―原平)、豊広鉄路(豊台―広安門)、京広高速鉄路(北京―広州)、京港高速鉄路(北京―香港)の7路線が乗り合わせており、交通の要所となっています。地下鉄10号線と16号線にもアクセスが可能となっています。

豊台駅の歴史は1895年4月に当時の清朝政府が天津から盧溝橋までの鉄道を通すことを決めたところまで遡ります。この鉄道は「津芦鉄道」と呼ばれました[1]。当時の清朝は、鉄道を開設するだけの能力はなく、イギリスから40万ポンドを借りたようです。またこの鉄道は中国で初めての複線として運用されました。1896年に天津から盧溝橋間が開通し、1897年に、豊台までつながりました。

豊台の近くには盧溝橋があり、1930年代から日中両国の軍隊が駐兵し緊張が高まっていました。1937年7月には盧溝橋事件が起こり、豊台駅も日本軍に占領されました。戦後、豊台駅は中国政府によって「特等站」[2]として運用されました。1956年には豊台西駅ができたことにより、貨物輸送などの一部業務が豊台西駅が移されました。1996年には北京西駅ができ、大部分の旅客輸送が北京西駅へと移されました。2010年6月に豊台駅の旅客業務が停止され、改修工事が行われました。2022年3月に、「北京豊台駅」へと名称が変わり、6月20日から正式に運用されるようになりました。

駅の面積は約40万平方キロメートルで、上から見ると「中」の文字の形となっているようです。毎時1万4000人の旅客が駅で待つことができるようです。地上4階、地下3階まであり、高速鉄道と在来線が二重構造で運用されている「アジア最大」の駅となりました。

北京には北京駅や北京西駅といった規模の大きな駅があるなかで、「アジア最大」規模の北京豊台駅が必要となるのは、現状、鉄道駅の運用がひっ迫しているということなのでしょうか。空港も同様に、北京首都国際空港という大規模な空港がありますが、2019年には「北京大興国際空港」を開設しています。私は、北京豊台駅と北京大興国際空港もまだいけていません。いつか行ってみたいものです。今後も、北京などの交通インフラの整備も注目です。

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[1]盧溝橋は「芦溝橋」とも呼ばれたことから「津芦鉄道」と命名されたようです。

[2]中国政府による鉄道駅の等級の最高ランクが「特等站」です。

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参考文献:

百度百科(2023年11月閲覧)

北京人民政府ホームページ(2023年11月閲覧)

『豊台時報』2023年4月10日付