アモイのはなし

はじめに

アモイ(厦門)は福建省の主要な都市のひとつです。福建省省都(省会)は福州市です。アモイにあるコロンス島(鼓浪嶼)はかつて租界であったため、今も洋風の建物が残っています。租界は外国人が住むための場所で、コロンス島に行くとかつての領事館などを見ることができます。ここでは、以前私が「小三通」を利用してアモイに行ったことをベースに書きたいと思います。

 

交通

鉄道

アモイには「厦門駅」と「厦門北駅」という2つの大きな駅があります。厦門駅は1957年から、厦門北駅は2010年から使われています。この2つの駅から、普通の列車と高速動車組列車(高鉄)などが運行しています。高鉄は時速250㎞以上で運行し、番号は「G」から始まります。高鉄を利用した場合は、深圳や福州に短時間で行くことができます。

 

地下鉄・BRT

今のところ地下鉄は3本(1号線、2号線、3号線)開通しています。4号線、6号線が現在建設中のようです。現在建設中の翔安国際空港にも将来的に3号線と4号線がそれぞれ接続されるとのことです。アモイには地下鉄のほかに、BRT(バス高速輸送システム)があります。バス専用の高架道路があり、渋滞の影響を受けずに移動することができます。私が利用したときは、乗車前に手荷物検査がありました。

 

空港

現在、アモイの主要空港は厦門高崎空港です。高崎空港は、1941年に建設されたようです。第二次大戦後は、国民党政府によって接収され、中国共産党軍が占領したあとは、閉鎖されたようです。1983年に再び運用が開始され今日に至っています。将来的には、厦門翔安国際空港ができ、高崎空港とともに空の玄関口としての役割を担う予定です。翔安国際空港は厦門島ではなく、近くの大嶝島にできる予定です。

 

「郵輪中心」(クルーズセンター)から船で観光地であるコロンス島に行くことができます。実際にここからコロンス島に行ったのですが、人がとても多く、乗船までかなり待たされたのを覚えています。地下鉄2号線でクルーズセンターに行くことができます(郵輪中心駅で下車)。「第一碼頭」という埠頭からもコロンス島行きの船が出ているのですが、私が行ったときは、厦門市民専用だと言われ、利用できませんでした。現在、観光客も利用できるのかはよくわかりません。五通埠頭からは金門島に行くことができます。五通埠頭へは、厦門駅からバスの「6路」で行くことができます。

 

アモイ大学

アモイ大学は1921年に華僑の陳嘉庚(1874-1961)氏によって設立されました。「985工程」にも選ばれている名門大学です。私が行ったときは、キャンパスに入るには事前に予約が必要でした。

 

華僑博物院

華僑博物院は、厦門大学創設者である陳嘉庚氏が設立に尽力し、1959年に開放されました。博物院では、華僑に関する資料や写真などが保存、展示されています。また、動物の模型や標本などもありました。私が行ったときは、事前に予約などは必要ありませんでした。現在、予約が必要かどうかはよくわかりません。

 

コロンス島(鼓浪嶼)

コロンス島はかつて多くの外国人が住んでいました。共同租界と言って、外国人が住むための居住区域でした。ですので、今でも洋風の建物が残っており、かつての領事館などを見ることができます。ホテルもあって、島で泊まることもできるようです。島にはたくさんお店もありました。世界遺産にも登録されているアモイを代表する観光地です。

 

福建土楼

福建土楼は主に福建省西南部にある伝統的な建築物です。世界遺産にも登録されています。土や石などが主な建築資材で、外敵からの侵入を防ぐため、厚い壁で守られています。土楼は主に客家と呼ばれる人たちが居住するために建てられ、数百人が生活できる土楼もあります。私は、日帰りツアーで永定土楼(龍岩市永定区)に行きました。土楼の中にもお店がたくさんあり、お茶などが売られていました。素晴らしい建物です。泊まることもできるようなので、ぜひ泊まってみたいです。

 

英雄三島戦地観光園

英雄三島戦地観光園は厦門島ではなく大嶝島という場所にあります。アモイ駅からバスで1時間ほどかかったかと記憶しています。「三島」とは「大嶝島」、「小嶝島」、「小嶼」の3つの島を指しています。三島から金門島までは近いところだと約2㎞の距離しかないようです。アモイと金門島は1958年の「八二三砲戦」などの戦いの最前線となりました。1949年から30年にわたって軍事的に対峙し、その間、大嶝島を含む三島に多くの砲弾が降り注いだようです。こうした背景から大嶝島に観光園が作られました。園内はそれほど人はいませんでした。園内には当時使われていたとされる戦闘機や武器などが展示されていました。また、巨大な軍用スピーカーがありました。このスピーカーを使って、金門島にいる人たちに平和的に統一しようと呼びかけていたようです。北京語(普通話)と閩南語で放送されていたようです。閩南語はアモイ、台湾などの地域で使われる言語です。園内からも金門島を見ることができました。

 

厦門大嶝対台少額商品交易市場

この市場は英雄三島戦地観光園と同じく大嶝島にあります。1999年から売り買いが行われているようです。市場にはたくさんの店が並び、台湾のお酒、お茶、民芸品などが販売されていました。金門島の名産品である「金門高粱酒」や「金門菜刀」も売られていました。アモイ市街には、本物か疑わしい「金門高粱酒」が売られていましたが、この市場で売られているお酒は本物のように見えました。ただ、やはり、金門島で購入した方が金額の面でも確実なような気もします。

 

おわりに

アモイはこれからも発展する可能性がある街だと思います。次、アモイに行く機会があれば、福建土楼に泊まってみたいです。なお、ここでは私が以前アモイを訪れたことをベースに書いています。最新の情報は、旅行会社やホームページなどでご確認ください。

-----

参考文献

中国国家鉄路集団有限公司ホームページ:http://www.china-railway.com.cn

厦門地鉄ホームページ:https://www.xmgdjt.com.cn

厦門大学ホームページ:https://www.xmu.edu.cn

華僑博物院ホームページ:http://www.hqbwy.org.cn

小三通のはなし

はじめに

小三通は、2001年1月に金門―アモイ(厦門)間の船の往来によって正式にスタートしました。現在は、金門―アモイ以外に、金門―泉州、馬祖―福州の船の往来があります。ただ、こうした往来は新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。また、馬祖―福州の往来に関しては、外国人の利用に制限があるようで、事前に確認した方がいいでしょう。ここでは、以前に金門(水頭埠頭)からアモイ(五通埠頭)の小三通を利用したことをベースに書きたいと思います。最新の情報は旅行会社やホームページなどで確認していただければと思います。

チケット

台北から小三通を利用する際は、①台北松山空港―金門空港の航空券、②金門空港―金門水頭埠頭のバス、③金門水頭埠頭―厦門五頭埠頭の船チケット、この3つを手配する必要がありますが、これらがセットになっているセットチケット(中国語:套票)というものがあります。とくに、金門空港から港までを路線バスで移動する場合は時間がかかると思うので、その点、セットチケットは便利だと思います。私は、「華信航空」(マンダリン・エアライン)のセットチケットを使ったことがあります。値段は、どの航空会社を使うかで変わってくると思います。

金門水頭埠頭

台北からだと松山空港からの出発が基本だと思います。松山空港は、MRT文湖線で行くことができ、台北市内にあるので便利です。空港に着いたら国内線ターミナルでチェックインします。預け荷物は10kgまでが無料で、超過した場合は別途お金がかかります。ただ、ここも航空会社によって違うのかもしれません。金門までは、台北から約1時間で着きます。

金門空港に着いたら、到着ロビーに各航空会社のレセプションがあるので、そこで係員から水頭埠頭までのバスを教えてもらいます。埠頭に着いたら、係員から船のチケットを受け取ります。その後、出国手続きを行います。制限エリア内にはレストランなどはなかったと思います。私は、コンビニエンスストアがあったので、カップ麺を買って食べました。

注意①:水頭埠頭の利用料として台湾ドルで100元ほど支払う必要があります。

注意②:アモイに着いてからは台湾ドルが使えないので、事前に人民元に両替しておいた方がいいでしょう。また、台湾のSIMカードも使えないので、中国本土で使えるSIMカードを用意しておいた方がいいでしょう。


厦門五通埠頭

アモイの五通埠頭までは約30分で着きます。埠頭に着いたら、入国手続きを行い、路線バスで市街に行きます。埠頭のバス停から「6路」というバスが出ているので、このバスに乗れば厦門駅に行くことができます。バス代を現金で支払う場合は細かいお金が必要になるので、事前に準備しているとスムーズです。厦門駅までは50分ほどかかったと思います。アモイの五通埠頭から金門まで行く際も、セットチケットを購入している場合は、埠頭の出発ロビーにある各会社のレセプションでチェックインすれば船のチケットがもらえます。ここでも、埠頭の利用料(30人民元)を別途支払う必要があります。

さいごに

金門島とアモイはとても近く、船で30分で行くことができます。アモイと金門島はかつては内戦の最前線でしたが、小三通により、人の往来が活発となりました。なお、このページの内容は、日本人が利用した場合ですので、他の国籍をお持ちの方は、ご自身でご確認いただければと思います。

金門島のはなし

はじめに

金門島はアモイ(厦門)からわずか数キロの距離にある島です。金門島は台湾が実効支配しています。アモイは福建省のなかでも経済が発展している地域で、金門島からアモイのビル群を見ることができます。金門島とアモイはかつては中国国民党軍と中国共産党軍の激戦地でしたが、2001年から始まった「小三通」によって往来が活発となりました。ここでは、2020年夏に私が金門島を訪れたことをベースにご紹介したいと思います。

 

戦跡

台北から飛行機で1時間ほどで金門島に行くことができます。台北以外でも、高雄や台中からも行けるようです。台湾から金門島に行く場合、飛行機はもちろん国内線ターミナルからの出発です。金門島はかつて国共内戦の最前線で、実際に戦闘があったことからかつての軍事施設が点在しています。

 

私が訪れたことがある代表的な戦跡は、「古寧頭戦史館」と「翟山坑道」です。この2か所へは、金門島の交通の要所である金城バスターミナルから出るバスツアー(台湾好行)で行くことができました。台湾のバスや地下鉄(MRT)で利用する悠遊カードで支払い可能です。金門島は路線バスはあるのですが慣れていないと乗るのは難しそうです。ですので、こうしたバスツアーで行く方が便利かと思います。またガイドさんの説明も聞けるので、たいへん勉強になります。ただ日本語ができる方がいらっしゃるかは分かりません。

古寧頭戦史館は1949年の古寧頭戦役を記念して建てられました。国民党はこの戦いで共産党軍に勝利しました。ですので、古寧頭戦史館は国民党の軍隊と蒋介石氏の勝利を称える内容が鮮明となっています。

 

「翟山坑道」は上陸用ボートを収容するために造られました。ボートは42隻収容でき、坑道建設に5年の歳月がかかったようです。坑道内は神秘的な空間となっています。現在は軍事的に利用されておらず、秋にはコンサート会場として利用されることもあるようです。

 

文化

金門島にはいくつかの特産品があります。一番有名なのは何といっても「金門高粱酒」です。度数は50度ほどある非常に強いお酒です。味は、好みが分かれると思います。個人的には「戦酒黒金龍」が一番飲みやすいと思います。食べ物だと「貢糖」。これはピーナッツを使ったお菓子です。台湾本島でも100元―200元ほどで売っています。そのほかにも、シップなどで使われる「一条根」や砲弾の鉄を使用した「金門包丁」(中国語:金門菜刀)が有名です。「一条根」のシップは台湾のドラッグストアなどで買えるので、お土産にいいかもしれません。金門島での朝食には広東粥がおすすめです。中華式揚げパンの油条と一緒に食べるととてもおいしいです。

 

実は金門島の物価はそれほど安くありません。多くのものを台湾から運んでいるので輸送費がかかるそうです。ただし、水の一部については中国本土から購入しています(2018年から)。今後、金門島とアモイの関係はどう変化していくのでしょうか。

 

交通

金門島の空の玄関口は金門航空站(金門空港)で、台北や高雄などの台湾各地と航空路線で結んでいます。海の玄関口は水頭碼頭(水頭埠頭)で、ここから船でアモイなどに行くことができます。アモイへは船で約30分です。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るってからは、「小三通」も影響を受けました。台北から金門までは飛行機で約1時間、片道の航空券が3000台湾ドルほどだったかと記憶しています。

 

金門島は大きく分けて金門本島(大金門)と列嶼(小金門)の2つの島で構成されており、以前は船で往来をしていましたが、今では全長約5.4㎞の「金門大橋」が開通しています。私が行ったときは、まず船で小金門まで行き、島についてから友人がバイクの後ろに乗せてくれ回ることができました。小金門からもアモイを見ることができました。小金門にはたくさんの牛がいました。

 

教育

金門本島には台湾の国立大学である国立金門大学があります。2010年に国立金門技術学院から国立金門大学になり今日に至っています。大学のキャンパスは大きく、キャンパス内を歩いていると「友好の桜」の記念碑を見つけました。題字は海部元首相が書かれたもののようです。国立金門大学のホームページによると、友好の桜は2007年12月に中央大学から10株贈られ、2009年5月に2度目の寄贈があったようです。

 

最後に

私はまだ金門島を回り切れていません。金門大橋もぜひ渡ってみたいです。機会があれば、金門島を再訪したいと思っています。

 

-----

参考文献

金門観光旅遊ホームページ:https://kinmen.travel

国立金門大学ホームページ:https://www.nqu.edu.tw