金門島のはなし

はじめに

金門島はアモイ(厦門)からわずか数キロの距離にある島です。金門島は台湾が実効支配しています。アモイは福建省のなかでも経済が発展している地域で、金門島からアモイのビル群を見ることができます。金門島とアモイはかつては中国国民党軍と中国共産党軍の激戦地でしたが、2001年から始まった「小三通」によって往来が活発となりました。ここでは、2020年夏に私が金門島を訪れたことをベースにご紹介したいと思います。

 

戦跡

台北から飛行機で1時間ほどで金門島に行くことができます。台北以外でも、高雄や台中からも行けるようです。台湾から金門島に行く場合、飛行機はもちろん国内線ターミナルからの出発です。金門島はかつて国共内戦の最前線で、実際に戦闘があったことからかつての軍事施設が点在しています。

 

私が訪れたことがある代表的な戦跡は、「古寧頭戦史館」と「翟山坑道」です。この2か所へは、金門島の交通の要所である金城バスターミナルから出るバスツアー(台湾好行)で行くことができました。台湾のバスや地下鉄(MRT)で利用する悠遊カードで支払い可能です。金門島は路線バスはあるのですが慣れていないと乗るのは難しそうです。ですので、こうしたバスツアーで行く方が便利かと思います。またガイドさんの説明も聞けるので、たいへん勉強になります。ただ日本語ができる方がいらっしゃるかは分かりません。

古寧頭戦史館は1949年の古寧頭戦役を記念して建てられました。国民党はこの戦いで共産党軍に勝利しました。ですので、古寧頭戦史館は国民党の軍隊と蒋介石氏の勝利を称える内容が鮮明となっています。

 

「翟山坑道」は上陸用ボートを収容するために造られました。ボートは42隻収容でき、坑道建設に5年の歳月がかかったようです。坑道内は神秘的な空間となっています。現在は軍事的に利用されておらず、秋にはコンサート会場として利用されることもあるようです。

 

文化

金門島にはいくつかの特産品があります。一番有名なのは何といっても「金門高粱酒」です。度数は50度ほどある非常に強いお酒です。味は、好みが分かれると思います。個人的には「戦酒黒金龍」が一番飲みやすいと思います。食べ物だと「貢糖」。これはピーナッツを使ったお菓子です。台湾本島でも100元―200元ほどで売っています。そのほかにも、シップなどで使われる「一条根」や砲弾の鉄を使用した「金門包丁」(中国語:金門菜刀)が有名です。「一条根」のシップは台湾のドラッグストアなどで買えるので、お土産にいいかもしれません。金門島での朝食には広東粥がおすすめです。中華式揚げパンの油条と一緒に食べるととてもおいしいです。

 

実は金門島の物価はそれほど安くありません。多くのものを台湾から運んでいるので輸送費がかかるそうです。ただし、水の一部については中国本土から購入しています(2018年から)。今後、金門島とアモイの関係はどう変化していくのでしょうか。

 

交通

金門島の空の玄関口は金門航空站(金門空港)で、台北や高雄などの台湾各地と航空路線で結んでいます。海の玄関口は水頭碼頭(水頭埠頭)で、ここから船でアモイなどに行くことができます。アモイへは船で約30分です。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るってからは、「小三通」も影響を受けました。台北から金門までは飛行機で約1時間、片道の航空券が3000台湾ドルほどだったかと記憶しています。

 

金門島は大きく分けて金門本島(大金門)と列嶼(小金門)の2つの島で構成されており、以前は船で往来をしていましたが、今では全長約5.4㎞の「金門大橋」が開通しています。私が行ったときは、まず船で小金門まで行き、島についてから友人がバイクの後ろに乗せてくれ回ることができました。小金門からもアモイを見ることができました。小金門にはたくさんの牛がいました。

 

教育

金門本島には台湾の国立大学である国立金門大学があります。2010年に国立金門技術学院から国立金門大学になり今日に至っています。大学のキャンパスは大きく、キャンパス内を歩いていると「友好の桜」の記念碑を見つけました。題字は海部元首相が書かれたもののようです。国立金門大学のホームページによると、友好の桜は2007年12月に中央大学から10株贈られ、2009年5月に2度目の寄贈があったようです。

 

最後に

私はまだ金門島を回り切れていません。金門大橋もぜひ渡ってみたいです。機会があれば、金門島を再訪したいと思っています。

 

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参考文献

金門観光旅遊ホームページ:https://kinmen.travel

国立金門大学ホームページ:https://www.nqu.edu.tw